腰痛対策は、特別にやっているわけではなく、
- 効率的なチームワーク
- 効率的な体の使い方
をしていれば、自然と身につきます。
一日に大量の重量がある材料をさばかなければいけません。
搬入する材料は、現場によって、重さも、形状も違います。
一つ一つの材料の特徴を知り、効率的な搬入ができます。
ある意味、腰痛対策は、「荷揚げのコツ」とも言えるかもしれません。
この記事は、
厚生労働省が示す、「職場における腰痛予防対策指針」を参考に、
荷揚げ屋の為の、
「腰痛のリスクを下げる為の考え方」
をまとめました。
筋肉の特性
背中の筋肉も含めた筋肉全体の話です。
最大筋力を発揮できる時間は極めて短時間です。
筋力は使い続けると、時間とともに急激に低下します。
このことから、取扱い重量の上限は、把持時間(しっかり持てている時間)との兼ね合いで決まります。把持時間は、筋力の強弱によって左右されます。
また、重量物を反復して持ち上げる場合は、その回数の分だけ、エネルギー消費量が大きくなり、肺や心臓等、呼吸、循環系への負担が大きくなっていきます。
このことから、持ち上げる反復回数に応じて小休止・休息時間を調節する必要があります。
以上のまとめると、
体を消耗する条件は、
重たいものを
- 長い時間持つこと
- 長い距離持つこと
- 繰り返し持ち上げること
ということが言えます。
もちろん、日々の鍛錬によって、把持時間も、距離も、反復回数も伸びます。
機械化、省力化できないか考える
腰痛にならないための一番の方法は、材料を人力で持たないことです。
重量のある材料の取扱は、
クレーン、フォークリフト等により機械化し、置き場のギリギリまで材料を近づけることができないか考えます。
それが困難な場合は、台車、そろばん、ハンドリフト等により人力の負担を軽減することを考えます。
さらに、それができない場合、人の力を使うことを考えます。
チームワークによる、腰痛対策
ここから、数人で協力して材料を運ぶ方法です。
体の負担を軽減しています。
リレーして、長い距離を運ばない
人力で材料を持ったままの移動距離が長い場合は、リレーします。
リレーとは、陸上のバトンを持ったリレーと同じです。
1人の人間が、数キロを全力ダッシュできないように、
短い距離を、複数の人で分担して、目的地まで材料を運びます。
図をみてください。
上は、石膏ボードを背持ちした人間が4人です。※凧揚げではありません。
4人で、20m先にボードを運ぶとして、どちらの方が、体の負担が少ないでしょうか。
とても原始的な方法ですが、リレーは、効果的です。
階段上げでも、リレーはよく使います。
短い距離を、分担したほうが、体・腰への負担は少ないです。
身長差がない人同士で運ぶ
下図の右側をみてください。
学校家具でしょうか。大きな什器(棚)を運んでいます。
小さい人は、什器の角度がついて、体から什器が離れて持ちにくそうです。
身長差がない人同士だと、什器が水平で、運びやすそうですね。
荷姿の改善、重量の明示等
同一重量でも、荷物の形状によって取扱いに難易があります。
重心の位置ができるだけ労働者に近づくようにすると、腰への負担が少ないです。
例えば、箱型の住設(トイレの棚とか、キッチンとか)は、1面だけが、化粧面で豪華な材料で重たくなっていることがあります。重たい面を自分の方に、向けて持たないと、体への負担が大きいです。というか、バランスが悪くて、持てません。
また、ダンボールに包まれた材料(クリップ・ハンガー(内装下地材)・外壁のアングル等)は、重さをひと目で判断するのが難しい場合があります。
実際の重量が、外見とは大きく異なり、誤った力の入れ方、荷物の反動等により、腰部に予期せぬ負担が発生し、腰痛を引き起こすことがあります。
作業姿勢、動作
できるだけ身体を対象物に近づけ、重心を低くする姿勢をとることで、不自然な姿勢を回避しやすくなります。
床面等から荷物を持ち上げる場合には、片足を少し前に出し、膝を曲げ、腰を十分に降ろして当該荷物をかかえ、膝を伸ばすことによって立ち上がるようにすること。
荷物を持ち上げるときは呼吸を整え、腹圧を加えて行うこと。
腰をかがめて行う作業を排除するため、適切な高さの作業台等を利用すること。
GLボンド、OAフロア、タイル類など、地べたから取り上げることが多いですよね。
一度に、1個だけなら、この方法でいいですが、なかなか先輩は、そうはさせてくれませんよね。
GLボンドを3個いっぺんに、肩に担ぎたいとき、1つづつ、先輩に乗せてもらいましょう。
※鏡もちではありません。失礼な。GLボンドです。
3つて、60kgですよ。先輩!無理はやめましょう。
腰が伸びた状態で、乗せてもらう方が、腰への負担が少ないです。
長距離運転直後の搬入が腰への負荷を強める
姿勢拘束という静的筋緊張から重量物の取扱いという動的筋緊張を強いられる
血流が滞った状態から、一気に筋力を使うので、力が出ずに、腰をやってしまうこともありえます。
長距離運転直後は、立ち上がり、少し時間をおくのが良さそうです。
腰ベルトについて
腰部保護ベルトの腹圧を上げることによる体幹保持の効果については、厚生労働省でも、見解が分かれているそうです。
作業で装着している間は、装着により効果を感じられることもある一方、
腰痛がある場合に装着すると外した後に腰痛が強まるということもあるそうで。
このことから、腰部保護ベルトを使用する場合は、
労働者全員に一律に使用させるのではなく、
人の感じ方に任せましょう、という曖昧なままでございます。
コチラを参考に、書きました。
H25年に改定された資料です。職場における腰痛予防対策指針
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