これは、60代の鳶さんに聞いた話です。
元々材料は、大工さんが運んでいたらしいです。
例えば、マンションの造作であれば、1フロア8戸、ボードの搬入だけでも、半日~1日かかります。少なく見積もって500枚とか。
LVLもどっさり。。ロングエレベータに、垂直気味に立て掛けての搬入です。
大工さん総出で、搬入をしていたそうです。
危険ですし、キツイですよね。
なぜ、昔の人は、自分でやっていたかというと、
- 単価が良かったし、
- 若い人が多かった
からじゃないかと、鳶さんはいいます。
建築業界は、今でこそ好況ですよね。オリンピック特需があり。
どんどんビルが建ち、いけいけどんどんです。
ですが、過去1990年代~2000年代前半までの間、建築業界に不況が続いたといいます。
不況が続くと、大工さんたちも仕事がないから、安い単価でも、仕事しないと生活できなかったみたいです。
やすい単価で仕事を取った場合、搬入時間を含めると、赤字だったそうです。
材料の搬入をしていたら、仕事にならない。施工の時間食われるし、疲れて施工できないし。
そこで、ゼネコンの監督さんに交渉して、「材料搬入費」というものを設けてもらい、搬入を外部に委託するところが発端らしいです。
それが、1990代の後半から、2000年代前半の出来事との事。
最近ようやく、現場の認知度が高まり、
搬入のプロとして、認められてきたようです。
これだけ、人間が他の動物と圧倒的な差を作れたのは、
「専門化」と「分業性」の2つの要素が大きかったからです。
漁師は魚を釣る
釣具屋は、竿・疑似餌を作る
みたいなことです。
2つを同時にやってもいいですが、
漁師も、魚を釣るだけではなく、家に帰ると、火をおこしたり、子育てをしたりとやることが沢山あります。
専門化することで、漁師が、魚を効率的に取れるようになります。
すると、時間が節約できます。その時間を使って、より効率的に魚を大量に捕まる方法を考え出します。
一度に大量の魚を捕まえることができると、漁に人数を掛けなくてよくなります。
すると、
家を立てる専門家や、服を作る専門化がでてきます。
そうやって、人間は発展してきました。
その、大きな流れの中に、例外なく荷揚げ屋はいます。
鳶さんはいいました。
「俺が、二十歳のころは、もっと給料が良かった。
19万はもらっとった。
同級生とかは、12,3万とかだった。
当時の19万て結構いい額よ。
もう、今の金額で、こぎゃんきつか仕事せんやろもん。
不況がなかったらねぇ。」
と。
1980年の19万は、2018年の価値に直すと、25.6万です。
今の、大卒の初任給より多いですよね。
始めたてで、
それくらいの給料であれば、また建築業界に若い人が入ってきて活気が戻るのではないでしょうか。
まとめると、
荷揚げ屋が誕生した背景です。
元々は大工さんが自分の材料は自分で搬入していた。
不況によって、単価が落ちた大工さん・職人さんが搬入をしていたら、金にならないので、
搬入を外部に委託しよう。というところから荷揚げ屋が誕生したようです。
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